科学的介護を活用することにより、利用者に対する客観的な根拠や情報に基づいた介護サービスを提供することが可能になると言われています。
2021年に厚生労働省が科学的介護の新たなシステムを導入しました。
介護施設から介護を受けている高齢者ひとりひとりの身体的な情報や認知症の程度などのいくつかの項目を定期的に受信し、分析を行っているのです。
分析の結果から、生活習慣の見直しやケアプランなどで見直すべき箇所があればそれを改善するよう介護施設へフィードバックを行います。
それぞれの介護施設からの情報を分析→フィードバックを繰り返すことで、客観的な分析に基づく根拠や情報を得ることができ、介護サービスの質の向上にも役立つと言われています。
国は、この科学的介護を取り入れている施設には介護報酬の加算を行っています。
しかし、まだ始まって日が浅いシステムのため、十分なデータが集まっておらず、国からのフィードバックも十分とは言えず、科学的介護に充分活用しきれていないという事実もあります。
また、介護においてはデータや数値だけでは片付けられない問題もたくさんあります。
認知症の高齢者に対しては世間一般の常識では通用しないことが多々あるからです。
それは、現場の介護職員がよく理解しています。
周りから見れば意味が無いと思うようなことでも、その利用者にとっては大事なこともあります。
客観的事実だけを見て、利用者本人を見ないということはあってはならないのです。